学校ブログ
道徳の授業の紹介
11月6日(月)、7日(火)に行われた道徳の授業を紹介します。
1年道徳「あふれる愛」
◯内容項目…自然愛護
◯内容の概略
栃木県足利市の植物園「あしかがフラワーパーク」にある樹齢約150年、千平方メートルにおよぶ大きな藤の木を別の場所から移植することに関わった樹木医の塚本こなみさん。樹木医の資格制度を知って資格を取り、1994年に大藤の移植を依頼された。「常識を超えている。」と言われるなか、「大丈夫。この木はとっても元気。移植はきっと成功します。」と確信し、2年がかりの計画を進めた。いびつに変形している幹をギプスで固定するなどの工夫で1996年に移植し、2か月後に大藤は見事な花を咲かせ、藤棚も元の大きさを遙かに超えるまでになった。
塚本さんは子どもたちに「人は『自然を守ろう。』と言いますが、人間も自然の一部なのです。自然の恵みをもらって、私たちは生かしていただいている、そう思うのです。」とよく話している。樹木医としてたどり着いた自然への畏敬の思いを多くの人々に伝えていくことが自分の使命だと考えている。
◯教師の思い
大きな藤木を移植させた樹木医の塚本こなみさんの、自然に対する考えや思いを通し、自然の人間の在り方を考えさせたい。自然破壊が進む現在、自然と人間が共生するために自分たちができることを実践しようとする態度を育みたい。
◯教師の見取りと生徒の考え、感想
・導入部で「自然に囲まれている、自然を感じる」というイメージを膨らませる中で、恵山の山、海、植物、動物、魚などと地元の具体物を生徒が発表した。
・自然で採れた食糧や資源のおかげで生きていけるということ。
・(木の)声は聞こえないが聞こうとする大切さ。
・人間は自然のおかげで生きている。(良い関係)
2年道徳「初心」
◯内容項目…希望と勇気、克己と強い意志
◯内容の概略
2016年夏のリオデジャネイロオリンピックで柔道男子7階級すべてでメダルを獲得した井上康生監督のお話。「お父さん、僕は柔道をするために生まれてきたと思う。柔道で世界一になりたい。」と小さいころから柔道を始め、小・中・高・大と優勝を重ね日本一になった。ところが大学2年のある大会で初戦敗退。その後も結果が出ない日々が続く中、さらに突然、母が亡くなったとの知らせ。父から手渡された母からの手紙には「すべて初心に返って頑張ってください。」の一行。この母の言葉を胸に初心に返って練習で様々な方法と試し、2000年のシドニーオリンピックで金メダルを獲得した。
表彰台でメダルをかけられたあと、母の遺影を高々と掲げた。大切なことを教えてくれた母への恩返しだった。
◯教師の思い
「初心」に返るとは、どんな気持ちになることなのか、どんなことが大切なのだろうかということを考えさせたい。
◯生徒の考え、感想(一部の抜粋です)
・最初の気持ちを忘れない。
・基本に返る。
・一度決めたことを最後までやり抜く。
3年道徳「風景開眼(ふうけい かいげん)」
◯内容項目…感動、畏敬の念
◯内容の概略
日本の画家、版画家、著述家、昭和を代表する日本画家の一人で、風景画の分野では国民的画家といわれる東山魁夷(1908年~1999年)のお話。昭和12、3年(30歳)ころ、八ヶ岳の美ノ森に1年のうち数十回行き、自然の心と溶け合っていたはずなのに作品はさえなかった。
終戦間近に軍隊に召集され、毎日爆弾を持って戦車に肉薄攻撃する練習をさせられていたある日、熊本市外の焼け跡の整理に行ったときの熊本城からの、肥後平野の彼方に阿蘇の裾野を望むひろびろとした眺めに、涙が落ちそうになるほど感動した。あの風景が輝いて見えたのは、私に絵を描く望みも、生きる望みもなくなり、私の心がこの上もなく純粋になっていたからである。私の心は締めつけられる思いであった。私が日本画家、風景画家を選んだのは、私自身の意思よりも、もっと大きなほかの力によって動かされており、生きているというよりも生かされているのである。
◯教師の思い
日常のあたり前にある自然の風景が、自分の命のはかなさに気づかせてくれることもあるという感情について考えさせたい。
◯「涙が落ちそうに感動したのはなぜか」についての生徒の考え(一部の抜粋です)
・戦争中で街の焼け跡ばかり見ていて、きれいな景色を見て感動した。
・死が身近になって生の姿が強く心に映った。
・生きる希望がなかったから。