今週の道徳授業の紹介
2月5日(月)の道徳の授業を紹介します。
1年道徳「緑のじゅうたん」
◯内容項目…真理の探究、創造
◯内容の概略
2014年5月に旧国立競技場のお別れセレモニーが行われた時、グラウンドキーパーだった鈴木憲美さんが表彰された。1965年に国立競技場のグラウンドキーパーになり、整備に没頭していた。1981年2月にイングランドのサッカークラブチームの監督から、芝が枯れて黄色くなっていると指摘され、さらに「日本のナショナルスタジアムの芝は枯れている」と世界中に報道された。
鈴木さんはあらゆる種類の芝の種を取り寄せ、課題を解決しようとした。そしてある時、夏芝の上に冬芝の種をまく「二毛作」という究極の挑戦を決断した。悔しい報道から8年目のこの決断で、とうとう冬の芝も緑にした。この方法は日本各地で受け継がれた。「自分の誇りは、冬でも滑らかな緑の芝になって、サッカーのパスの精度や走力が向上し、日本のチームの役に立てたことです。」と鈴木さんは語った。
◯教師の思い
自分の理想を求めるために、すべきことは何だろうか? 自分自身の生活と重ね合わせて、自分は目標に向かって頑張れているのかを気づかせたい。
◯生徒の考え、感想(一部の抜粋です)
・あきらめないで、やりきる。苦手なものでも頑張って挑戦する。
・たくさんの経験を積む。自分には厳しく、周りには優しくする。
・周りの意見は気にせず、自分を貫き、強い意志をもつ。
2年道徳「足袋の季節」
◯内容項目…よりよく生きる喜び
◯内容の概略
1923年に私は、家の経済が非常に苦しいため、小学校を出てすぐに小樽のおばのところに行った。おばは小樽郵便局の給仕の仕事を世話してくれた。月給は安く、冬にはゴム長どころか足袋を買う余裕もなかった。
ある日、上役の言いつけで10銭玉を握って、おばあさんが売っていた大福餅を買いに行った。自分が渡したのは10銭玉だったが、おばあさんは「50銭玉だったね?」と聞いた。そのとき40銭あれば足袋が買えると思って「うん。」とうなずいてしまった。おばあさんはちらっと私を見て「踏ん張りなさいよ。」と言って私の手に10銭玉を4つ握らせてくれた。「あのおばあさんから金をかすめ取った」という自責の念と「踏ん張りなさいよ。」と励ましてくれたのだという甘い考えとが、日夜私を苦しめた。
試験に合格して札幌に配属され、月給をもらうと小樽局のおばあさんを訪ねたが、すでに死んでいた。ただむしょうに自分に腹が立った。以後20何種類の職を転々としても、「踏ん張りなさいよ。」の言葉に支えられてきた。後悔の念が深いが、おばあさんが私にくれた心を、今度は私が誰かに差し上げなければならないと思っている。
◯教師の思い
自分の生き方を考える
→今の自分にとって、将来の自分にとって、人として大事なことを考えるきっかけとなれば良い。
◯生徒の考え、感想(一部の抜粋です)
・(おばあさんが「私にくれた心」とは何かについて)社会に貢献する心、仕事を頑張ってこなそう とする心、自分を大切にする心、他人を思いやる心、頑張って生きようとする心、あきらめない心
3年道徳「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ジャパン」
◯内容項目…遵法精神、公徳心
◯内容の概略
アメリカの動物学者エドワード・シルベスター・モースが、1877年から2年間日本に滞在した時の記録出版から、当時の日本の人々についてのお話。モースが日本を訪れてまず驚いたのは開けっ放しの家屋の造りで通りから家の中の様子が丸見えだった。あるときモースが乗った人力車の引き手が、大量の木材を積んだ大八車を押すのを手伝い、大八車の男たちが何度もモースに頭を下げた。日本人は「あたりまえの心遣い」ができた。広島のある旅館に滞在した時、何日間か他の地を巡る際に余分な現金と金の懐中時計を旅館に預かってほしいと頼んだ。女性がお盆を一つ持ってきて「このお盆に載せてください。」といい、その盆を畳の上に置いて、そのまま部屋を出て行った。モースが不安になって尋ねると女性も旅館の主人も「ここに置いたままでいいのです。」と答えた。一週間後に同じ部屋に戻った時、お盆には現金と懐中時計が出かけた時のままの状態で置かれていた。モースの国では、ホテルの入り口にさまざまな注意書きや禁止事項が貼られ、石けんやタオルが盗まれないようにさまざまな手段がとられている。
モースが初めて日本を訪れてからおよそ140年が経つが、今の日本を訪れたら、どのようなメモやスケッチを残すだろう…。
◯教師の思い
・日本で受け継がれてきた日本人の特質(人格や行為など)を含む伝統について、考え方を広げたり深めさせたい。
・受け継がれた伝統を引き継ぎ、「日本」をよりよいものにしていこうとする気持ちを持たせたい。
◯生徒の考え、感想(一部の抜粋です)
・(モースが魅力に感じた日本人と今の日本人を比べて)変わった点は、ずる賢い人が増えた、自己中心的で相手のことを考えない。変わらない点は、規則を守る、災害などで助け合う、電車などでの思いやりなど。
・(自分はどうしていきたいかについて)誰にでも気遣いをし優しくする、今までよりも相手のことを考える、世界で一番愛にあふれる国にしたい。